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見習医師 [徒然]


私の長男は、今年の4月から北海道の市立病院で研修医をしています。
大学で6年間医師に必要な医学知識と医療行為の知識を学んできましたが、実際に患者さんを前にして医療行為をするとなると、どうしても経験がないのでうろたえたり自信がなくて消極的になったりと、毎日苦労の連続だそうです。

それはそうでしょう・・・大学では病院実習はあるものの、実際に患者さんを前にして何かをするわけでもないし、医師や看護師が行なっている医療行為を見ているだけだから。

2年間の前期研修期間のなかで、おおよそ自分の専門分野を見つけ出すようです。
長男は「麻酔科医」を目標にしているようです。
でもね~「麻酔科医」の現実を知っているのだろうかと心配になります。

手術の時は麻酔科医が患者さんの全身状態をチェックしながら麻酔をかけます。
そして手術が行われている間中患者さんの状態を管理しなければならないのです。緊急手術があれば、駆けつけなければいけないし、とにかく神経をすり減らすことが多いそうです。


先日、ドクターヘリで運ばれてきた重症の患者さんがいたのですが、長男は先輩の麻酔科医がテキパキと事を進めるのを、感心して見ていたそうです。そして研修医になって何回目かの「気管挿管」を行ったと言っていました。
この気管挿管は心肺停止などで呼吸ができない人に行なわれ、気道を確保して人工呼吸器に繋いで呼吸を強制的に行なうものです。
手術の件数が多い外科医では普通にやるそうですが、内科医はなかなか出来ない人も多いそうです。

麻酔のミスによって患者さんを植物状態にしてしまったり、死亡させてしまったりというニュースもよく耳にします。
最近は医療事故による民事訴訟や刑事事件として起訴されたり・・・医師や看護師はビクビクしながら仕事をしているように思います。
これが負の連鎖を引き起こすのです。

長男には「ありのままの医療現場の実態を見ろ。そのなかで自分はどうすればいいのか、じっくりと考えろ。医師になりたいという強い思いでここまできたが、なりたいという思いの強さと信頼される医師になれることとは必ずしも正の相関関係にはない。」と言っているのですが・・・どうなることやら^^;

今月の中旬に横浜市で日本麻酔科学会が開かれます。
長男はその学会に参加するため、本当に久しぶりに横浜の実家に帰ってきます。
木・金と学会なので、土曜日にでも酒を呑みに行こうかな~と思っています。
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maki

立派な息子さんですね。
麻酔医は確か向田邦子の小説で読んで、えらく大変な仕事だと思った記憶があります。
日本もいつの間にか訴訟大国になってしまい、病院も大変だと同情したくなることもしばしば。
息子さんがその現実に絶望せず、いつまでも初心を忘れないで医療現場で頑張っていかれることをお祈りしてます。
by maki (2008-06-02 22:16) 

sarahe

☆★☆
4月末に妻と私の母親が北海道に行ってきたのですが、長男の様子を見に市立病院へこっそりと行ったんです。すると白衣を着た長男がレントゲン写真を手に持って、廊下を走って手術室に入っていったと言ってました。

最初は心臓外科とか脳神経外科とか、ブラックジャックの影響か「外科医」を志向していたんです。でも、ある時から「麻酔科医」を目指すようになりました。理由は分りません^^;
手術をする時は必ず「麻酔科医」はいなければなりません。麻酔科医がいない時には、外科医なども麻酔をかけることがあるようですが、やはり全身状態に影響を与える大きな手術は、専門医である麻酔科医が不可欠です。それが勤務状態を悪化させている原因の一つです。訴訟問題もあります。小児科医・産婦人科医そして麻酔科医・・・厳しい勤務状態の専門医代表格です。

makiさん、こころのこもった言葉、ありがとう。息子も多くの壁にぶつかりながら学んでいくのでしょう。でも、壁をするりとかわす無難な解決策を、今のこの時期に採ってほしくはありません。悩んで苦しんでもがいて・・・そして自分なりの答えを見つけていってほしいと思っています。
by sarahe (2008-06-03 08:11) 

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