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3年ぶりの冬山登山 [徒然]

12/15-17の2泊3日で、長野県にある八ヶ岳赤岳(2,899m)に登って来ました。いや、正確には「頂上まで行く予定だった」と書かなくてはいけないのだろう。
実に3年ぶりの冬山であった。
ヘルパーの仕事を3日間休み、弟から車を借りて「いざ、八ヶ岳!」。

14日の仕事が終わって遅い夕食を食べた後、横浜の自宅を出発するはずだった。でも、ちょっとのつもりで布団に入ったのが運のつき。翌朝までぐっすりと寝込んでしまった。仕方なく昼前に横浜を出発し、16号を八王子方面に進む。相模湖からは20号甲州街道を進み、中央道・相模湖ICから高速へ入る。ここまではすこぶる順調だ。

八ヶ岳SAで休憩。SAから南を見ると、頂に雪を乗せた山々が見える。あれは甲斐駒ケ岳(通称「甲斐駒」)2966mと鳳凰山の山並みだろう。もう夕暮れが近く、空は夕焼け+雲で暗くなりかけていた。

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天気予報では15日から17日までは第1級の寒波が来襲し、今年一番の冷え込みとなると報じられていた。山沿いでは雪が降り、風も強いとのことだった。
八ヶ岳は長野県と山梨県の県境にある山地の総称で、大きく北八ヶ岳と南八ヶ岳に分けられる。北は針葉樹林が多く、苔むす登山道と動植物がポイントだ。一方の南は、岩肌が印象的な山々が多く、今回の赤岳も南八ヶ岳の中心である。というか、八ヶ岳の主峰である。

小淵沢ICで中央道を降り清里方面へ登って行くと、八ヶ岳鉢巻道路との交差点があるので、そこを鉢巻道路へ入って行く。暫く行くとペンションや別荘、会社保養所、研修所などが多く見られ、原村へと入って行く。
ペンション村でのクリスマスディスプレー。
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今晩は八ヶ岳の登山口の一つ「美濃戸口」で車を止め、その中で翌朝まで寝る予定だった。
しかし・・・計画は寒波で完膚なきまでに打ちのめされた。
8時半頃には後部座席に羽毛の寝袋と毛布+枕という車中泊グッズに埋もれて、眠りに着いた。
しかし・・・眠れない。最初は興奮により。後半は寒さにより。
身体からは水分が蒸発しているので、車の窓には水分が付いて曇りガラスのようになっている。それが徐々に車外の寒気に冷やされて、氷になっていくのだった。指で触るとシャリシャリ言って、シャーベットのようになって剥がれてくるのだった。だから、車の中は「冷凍庫」のような状態になっており、窓側に近い頭と足先が特に冷たくなっていた。そのうちに頭が痛くなってきた。シャーベットを食べた時に、眉間やこめかみが痛くなった・・・あの感じである。それがず~っと続くので、とても寝れたものではなかった。
エンジンを付けて暖房をつければいいのだが、づっと付けたままには出来ないし、起きては点け寝て、また起きては寝るという繰り返しだった。これでは寝れるはずがない^^;
結局1時間ぐらいウトウトしただけで6時になり、着替えを始めて朝食のおにぎりを食べた。おにぎりは石のように固くなっており、サーモスに入っている暖かいコーヒーを飲んで、胃に流し込む感じだった。

外は強烈に寒い。
でも、歩き始めると汗が出てくる。 標高1700m付近に駐車場があり、赤岳山頂が2899mだから標高差1200mだ。駐車場付近は5cm程度の積雪だった。
歩き始めて20分ぐらいに道標があった。まずは赤岳鉱泉(2300m)を目指す。

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大きな石の上にあった石仏。

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歩いて1時間位の所にある「美濃戸山荘」付近。そして山荘に設けられている「登山計画書」のポスト。

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今の時期の山小屋営業状況。

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次第に積雪が多くなってくる。
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登山道の脇に生える木々には、赤いテープが巻かれている。これは冬山登山にはなくてはならないもの。道に迷わないためには、この赤いテープを目印にして歩けばよい。勿論、いきなり冬に登るのではなく、夏に同じコースを登ってみることが最低限必要だ。

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駐車場から3時間。漸く赤岳鉱泉の山小屋に着いた。標高2300mだ。
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山小屋の屋根には40~50cmの雪があり、煙突の一部が落雪によって曲がってしまっている。付近の積雪は1m程度だろうか?

ここで大休止!
山小屋に入り、濡れた衣服を整える。
チョコレートとパン+コーヒーでエネルギーを摂る。
そして写真を撮る。

↓ 右に見えるのが主峰赤岳2899m。そしてその稜線上を左に降りてくると、山小屋が見えると思う。「赤岳天望荘」である。

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↓ 有名な横岳の岩場。大同心と小同心だ。向かって左の突き出た岩の塔が、大同心。右が小同心。

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天候は曇り。気温はマイナス7℃だ。デジカメを撮るために手を出していると、その手が凍えてきて感覚が無くなる。この時11時半ごろだ。今の時期、山小屋が営業しているのは、ここ赤岳鉱泉だけである。
年末年始になれば、稜線上の山小屋も営業する。
このまま赤岳にTRYするとすれば、3時間~3時間半かかる。頂上からの下山が一番嫌らしい岩場なのだ。風が強いので、岩場に降った雪は飛ばされて無く、ある場合は凍っている。その上に雪が乗っている状態で、12本歯のアイゼンとピッケルで慎重に歩かないといけない。暗くなり始めてからの下山は危険なので、今回はここまでで終了とした。

富士山で元F1レーサーの片山右京さんと2人の仲間が遭難した。冬の富士山の怖さを理解していなかったことと、同行の2人は全くの初心者だったことで力量差が大きかったことが原因と言われている。
初心者が冬の富士山に登ることは、少しでも山のことを知っている人には信じられない行為だ。

saraheも冬の富士山には何回も登っているが、風速50m以上にもなる強風が一番恐ろしい。
saraheも御殿場口から登って2500mの5合目ぐらいにくると、いつもこの強風に悩まされた。強風が来ると「耐風姿勢」と言って、ピッケルを雪面に突き刺して靴に取り付けたアイゼンの爪も刺して四つん這い状態にして風をやり過ごすのである。でも、雪面と身体の間が少しでも開いてしまうと、その10cm程度の間に強風が入り込み、身体を持ち上げて吹き飛ばしてしまうこともあるのだ。
そして風が吹くと体感温度はぐっと下がり、登りで汗をかいていると身体が凍えてしまう。この状態ではテントの中とは言え1晩過ごすのは無理だ。
凍死の危険性が高くなる。今回も死因は凍死だと言うことだ。
同行した2人は、本当に可哀そうな死に方だった。

さて、この赤岳鉱泉小屋には、こんなものが作られていた。
↓ 人工的に作られた「氷壁」だ。スプリンクラーで水を上から撒くと、寒さで氷となって固まる。それを毎日繰り返していくと、大きな氷壁が出来る。

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saraheも写真だけ撮っていたので身体がかなり冷えており、早く歩き始めて少し汗をかくぐらいにしないとダメになった。下山の方が危ないのだ。スリップによる転倒で頭部を強打するとか、手足を骨折する危険があるのだ。
慎重に慎重に・・・・・・。

↓ 岩の上に積もったフワフワの雪。

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↓ 半分以上埋もれた道標

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八ヶ岳の標高の高い所に生えている樹木は、コメツガが多い。
コメツガも実生から成長している。

↓ 実生のコメツガ

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↓ 少し大きくなったコメツガ

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漸くの思いで下山した。駐車場に着いたのは、午後2時半を過ぎていた。身体は冷え切っており、早く温泉に入りたい。
そんな思いで向かったのが、「鹿の湯」だ。

↓鹿の湯

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600円で日帰り入浴できる。休憩室もあるし食事も出来る。併設しているホテルのお土産コーナーがあるので、ここでお土産も買える。

ここのお風呂は大きいので、ゆったりした気分で入浴できる。サウナもあるし露店風呂もある。


今回の3年ぶりの冬山だが、またまた途中退却と相成った。トレーニングはして行ったし体重も7Kgの減量にも成功していたのだが・・・・・・。今シーズン、もう1回TRYしたいと考えている。
どうなりますか。
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コメント 4

kaotan

ひょえー!冬山登山だあ!
右京さんの遭難のニュースがあったばかりなので
無事帰られて何よりです。
夏の八ヶ岳にはちょこっと登ったことがありますが
冬は無理だわ・・・
この温泉入ったことあるかも♪
また冬山に登るのですか?
気をつけてくださいね~。
by kaotan (2009-12-21 11:12) 

collet

うちの父も山男だったので山に惹かれる気持ちは分かりますが、
冬山登山だけは何で登るのかが分かりません。
危険と隣り合わせのスリルを楽しむためかしら?
saraheさんもまたトライするとのことですが、
どうか気を付けて!無理をなさらないでくださいね~~
by collet (2009-12-21 12:44) 

sarahe

☆kaotanさん、こんばんは。お久しぶりです!
3年ぶりの冬山でしたが、何とか2300mまでは登れました。でもね~本当はここからが一番登りがいがあるのですが。山頂からは北アルプスや南アルプス、中央アルプス、富士山などが一望できます。
雲海の上に頂を出した富士山は、それはそれは見事でした。
「鹿の湯」・・・入ったことありますか?
大きなお風呂ですね。綺麗だし。
次回は2月に登ろうと思っています。
by sarahe (2009-12-21 22:37) 

sarahe

☆colletさんのお父さんも、山男だったのですか!
「冬山を何故するか?」・・・私は雪が積もった登山道を歩くと、何故かこころが安らぎます。多分、雪が周囲の音を吸収し、無音状態になるからではないかと思っているのですが・・・。
そして凛とした空気。
冷たい岩。
決してスリルを味わいたくて登ることはありません。如何にリスクを小さくしながら登頂できるか、これは大前提としてあります。
妻も最初はなかなか分かってくれませんでした。最後は何も言わなくなりました。諦めたのでしょうか?
岡山に単身赴任していた頃は、車で鳥取県の「大山」に登りました。これも冬山です。頂上にある山小屋は雪に埋もれ、2階の入口から入って階段を下りていきます。中で作ったラーメンの美味しさは、今でも思い出されます。

決して無理はしません^^;
ありがとうございます!
by sarahe (2009-12-21 22:48) 

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