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本を読む 「臨床瑣談」 [読書]

10月になってから、日が暮れるのが早くなった。会社が終わる5時半には、既に外は暗い。
「読書の秋」とはよく言ったもので、秋の夜長は本でも読んで教養をつけようというものだ。
一方では「食欲の秋」とも言われ、メタボで苦しむ私などは、家族が食べるお菓子や清涼飲料水などに手を出せないので、その分晩御飯の量が少しばかり増えるのだ。

さて、今私が読んでいる本を紹介しようと思う。

【臨床瑣談】という本である。中井久夫氏が書かれたもので、みすず書房から出版されている。中井氏は精神科医である。「臨床瑣談」・・・瑣談、この字の意味が分からなかった。漢和辞典で漸く理解できた。
出版社の「みすず書房」は私が好んで買うところだ。少々根が張る書籍が多いが、読み応えのあるものが多い。


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この本に関しての「書評」がある。少し長いけれど、紹介する。

「〈臨床瑣談〉とは、臨床経験で味わったちょっとした物語というほどの意味である。今のところ、主に精神科以外のことを書こうとしている」
本書は、精神科医としての長年の経験をとおして、専門非専門にかかわりなく、日本の医学や病院やその周辺について「これだけは伝えておきたい」という姿勢で書かれている。多方向からの視線ではあるが、病名を告知された患者側ができる有効なことは何かに主眼がある。
「現代は容赦なく病名を告知する時代である。告知の時代には、告知しただけの医師の覚悟も必要であり、また、告知された患者も茫然たる傍観者ではなく、積極的に何かを行ないたいだろう。患者もその家族、知己も、いつまでも手をつくねてドアの外で待つだけの存在では済むまい」
院内感染を防ぐには患者側はどうすればよいか。脳梗塞の昏睡患者を前にして家族にできることとは。さらにガンを持つ人の日々の過ごし方について、「丸山ワクチン」について――。その実用的な助言は、現代医療批判でもあり、自然回復力の大切さと有限性も視野に入れながら、医学の可能性と限界をくっきりと映しだしている。


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「臨床瑣談」の著訳者:中井久夫
なかい・ひさお
1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。著書『中井久夫著作集――精神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『分裂病と人類』(東京大学出版会)『記憶の肖像』(1992)『家族の深淵』(1995)『アリアドネからの糸』(1997)『最終講義――分裂病私見』(1998)『西欧精神医学背景史』(1999)『清陰星雨』(2002)『徴候・記憶・外傷』(2004)『時のしずく』(2005)『関与と観察』(2005)『樹をみつめて』(2006、以上みすず書房)ほか。共編著『1995年1月・神戸』(1995)『昨日のごとく』(1996、共にみすず書房)。訳書としてみすず書房からは、サリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『精神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病は人間的過程である』『サリヴァンの精神科セミナー』、ハーマン『心的外傷と回復』、バリント『一次愛と精神分析技法』(共訳)、ヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)、『エランベルジェ著作集』(全3巻)、パトナム『解離』、カーディナー『戦争ストレスと神経症』(共訳)、クッファー他編『DSM-V研究行動計画』(共訳)、さらに『現代ギリシャ詩選』『カヴァフィス全詩集』『リッツォス詩集 括弧』、リデル『カヴァフィス 詩と生涯』(共訳)、ヴァレリー『若きパルク/魅惑』などが刊行されている。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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目次
まえがき
虹の色と精神疾患分類のこと
院内感染に対する患者自衛策試案
昏睡からのサルヴェージ作業の試み
ガンを持つ友人知人への私的助言
SSM、通称丸山ワクチンについての私見
軽症ウイルス性脳炎について

この本の関連書

インフォームド・コンセント [著者] ルース・R・フェイドン
[著者] トム・L・ビーチャム
[訳者] 酒井忠昭
[訳者] 秦洋一

精神病者の魂への道 [著者] ゲルトルート・シュヴィング
[訳者] 小川信男
[訳者] 船渡川佐知子

最終講義 [著者] 中井久夫

看護倫理 1 [著者] ドローレス・ドゥーリー
[著者] ジョーン・マッカーシー
[訳者] 坂川雅子

看護倫理 2 [著者] ドローレス・ドゥーリー
[著者] ジョーン・マッカーシー
[訳者] 坂川雅子

看護倫理 3 [著者] ドローレス・ドゥーリー
[著者] ジョーン・マッカーシー
[訳者] 坂川雅子

サリヴァンの精神科セミナー [著者] ハリー・スタック・サリヴァン
[編] ロバート・G・クヴァーニス
[編] グロリア・H・パーロフ
[訳者] 中井久夫



読み始めてまだ1日しか経っていないけれど、読んでいてとても面白い。
書かれているテーマも、日頃何かと耳にするもので、関心を持って読むことができる。

秋の夜長にウイスキーのロックをちびりちびりやりながら、ページをめくるなんて・・・贅沢なひと時を味わえる。



 臨床瑣談(りんしょうさだん)
 中井久夫 著
 みすず書房出版
 1,800円(税抜き)
 2008年8月22日発行
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